ああ、お似合いだなあと思うといても立ってもいられない。本当は、そんな事もないんだけど。お似合いなら、一緒に並んで当たり前かなあ、と訂正する。それが、しっくりくる。
羨ましい。
何が、羨ましいのだろうか。
その容姿が、性格が、整った彼女が羨ましいのか。
そんな彼女が彼の隣に立っているのが羨ましいのか。
実は、彼女といる彼が羨ましいのか。
何が羨ましいのだろうか。
並んだ姿が近づく。黒い髪を靡かせて歩くリナリーと、真っ白い髪の浮いているアレン。
「これから、任務?」
分かりきったことを聞く。教団に帰ってきて半刻も水路に繋がる一本道で待っていたのに白々しく、今帰ってきたんだよと言わんばかりに歩き出す。ゆっくり、ゆっくり。
「そうよ。行って来るわね、
「行ってらっしゃい、リナちゃん…アレンくんも」
「ありがとう。行ってきます」
笑顔をくれた2人に何でもない顔をして、そのままゆっくりすれ違う。2人は何を話していて、何に花を咲かせるだろう。
なんて綺麗でお似合いな、
!」
リナリーが少し大きな声で呼んだ。立ち止まるけど、振り返らない。アレンが続ける。

その声で振り返る。ボクを見て、2人は顔を合わせてからまた笑った。
「「お帰りなさい、お疲れ様」」
「…ありがと」
なんて眩しい人たちだろう。見たかった。明るい2人が、どちらかだけ見たかった。なんで一緒に任務なんだろう。
ああ、リナリア、



羨ましいよ



2人とも羨ましい。なんであんなに輝いているんだろう。
黒い団服を掴んで蹲ると、通路を照らす頼りない松明の火を侵食する闇になった気分だった。