素敵なお茶会しましょ?

真っ白なテーブルクロスの上にカラフルな食器やかわいい御菓子、ドレスは鮮やか艶やかに。御菓子を一口あまーい誘惑、お茶を一杯とろけるの。

パティシエがいなくても最高のデザートを用意して。ソムリエがいなくても最高の紅茶を淹れて。

ねぇ素敵なお茶会しましょ?



「…狂ってる」
「口が利けるなら、充分元気だね。てっきり殺しちゃったかと思ったよ、ボクがさ」
、てめえ」




はやけにボクが、という部分を強調して、神田を見下げた。並んで立てばよりも背の高い神田を、彼女が見下ろせるはずがない。神田は今床に転がっている。否、転がされていた。



「何がしたい」
「ん。」



は神田の問いに何も答えない。彼がもう一度呼び掛けても、やはり応えない。平静なら神田がアクションを起こしてもおかしくはないが、その身体は鎖によって封じられていた。
はニィと笑って神田をつつく。



「…じゃあユウくんはどうしたい?」
「訊いたのは俺だ」
「君を生かすも逝かすもボク次第だ」
「チッ…答えるのは俺次第だ」
「あぁ、言うね」



諦めたように、呆れたように互いが全く譲らない。当然話が進まないので、仕方なくとも片方が譲らなくてはならない。この結果譲ったのは



「…てめえが俺を放せばいいんだよ」



神田だった。



「ふーん。それだけか」



実に愉快そうにが立ち上がった、それまで手にしていなかったはずの鎌――自らのイノセンスを構えて。



「おいっ、てめ…」



焦る神田を気にも留めず、は鎌を振り下ろす。
キィン、と金属特有の高い音が響く。神田を捕らえていた鎖の一端が砕け散り、それにならって全体がほどけていった。
解放を望んだはずの彼は瞠目するしかなかった。見透かすようにが口を開く。



「ユウくんが放せって言ったんじゃない。まさか驚いてるの?」
「当たり前だろ!…何を考えてんだ」
「何がしたいとか何を考えているとか、聞いたって先に何が起きても可笑しくない、んでしょ?」
「…!」



飄々としているだが神田と比べるまでもなく頭を回転させている。少なくともある程度以上の期間を過ごしている神田の考えくらいなら先読みは容易だ。



…」
「大体、言ったはずだけど。素敵なお茶会しましょ、って」
「そうかよ…狂ってるぜ」



神田は最初に聞いた時と同じように繰り返す。しかし、の反応は違った。



「それでもいい。ボクはキミとそうしていたいだけ…それに」
「あ?」



は嘲う。





「放せばいいなら 逃さない」



Crazy Cat