ただのお出かけ、それさえもデートと言ってみる。違うんだけど、端から見ればカップルの出来上がり。これを使った遊びが出来るんじゃないかって考えてみた。
材料は有能な愚者1人。

まず捕まえて隙を突きます。
次に相手の動向を確認します。
巧く味付けしながら切り込みをいれます。
最後に切り口を塩で塗りたくって、完成。
うん、いい感じ。キュー(ピー)3日クッキングって感じ。
暇潰しにちょうどいい前菜だ。僕って天才じゃない?

「えぇ、見直したわ禊ちゃん。すごく天災的ね」
「『でしょでしょ!すごく天災的で…』『って、えええ!』『酷いよちゃん!』」
「あぁ、本当ね。もう一度やるわ。」
「『うん、そうだよね!直しちゃってよ!』」
「えぇ、見直したわ禊ちゃん。すごく人災的ね」
流石の球磨川も、漫才のようなやりとりに一瞬固まる。
「『ちがあああうっ』『そうじゃないでしょ!?』」
「うん?…どうかな?」
「『ま、まさかちゃんは僕の事が嫌いなの…?』」
「さぁどうかな?」
はけろりとした顔で応対する。周囲からすれば珍しく、球磨川が狼狽させられていた。球磨川の様子など差し置いて、がまた口を開く。
「禊ちゃんこそ、私の事が嫌いなの?」
「『まっさかぁ。』『だーいすきっ』『だよ?』」
あっさり調子を戻した球磨川に、やっぱりお前はなどと突く者はいない。は続ける。
「有能な愚者って、禊ちゃんが言いたいのはとんでもない馬鹿でしょ」
「『そうとも言えちゃうかもね』」
「私にそうだって言ってくれても嬉しくないんだけれど。」
「『あ、ばれてた?』『あれだけでよく分かったね。さすがちゃん惚れ直したぜ!』
『なーんてね!確かに暇潰しに目をつけてみたんだけど』『すげなく断られちゃったら立つ瀬がないよ』」
「変えられる原もないわね」
「『うーん、そうでもないかな』」
球磨川が少し首を傾げる。
次の瞬間にはが床に螺子伏せられていた。
「『まぁ、そこはさ、変えちゃえばいいんだよ。』」
馬乗りになる球磨川に対して、は焦る様子も見せず黙々と螺子から逃れるために身を起こそうとする。それを易々と許す球磨川ではない。
「『予定とは違うけど、目的は達成されているかな?』」
「あぁ、暇潰し…だったんだものね。何でもいいじゃない?」
「『いやいや!暇潰しなんてついでだぜ』」
球磨川は悪びれもせずにこう続ける。
「『健全な男子高校生と名乗るなら!』『既成事実を作らないとね!』」
「……」
飄々としていたの表情が引きつり始める。自分の身に降りかかっている危険の種類を初めて分かってしまった以上、緩やかな抵抗ではすまなかった。しかし、相手は球磨川禊。今更何もかもが遅いだろう。それでもは策を練る。
「『ちゃんがいいなら…』
 『ちゃんがいいならカップルに見せかけるんじゃなくてさ…』」
「禊ちゃん。」
「『んー?』」
一拍の間を置いて。
「禊ちゃんのこと、明日まで好きよ」
「『え……ぐ、あ!?』」
見事に。
目を見張る鮮やかさで球磨川の腹部にボディブローが決まった。
崩れてきた球磨川を避けつつ、はその下から這い出る。
「よし…」
「『つっかまーえたっ』」
「きゃ、あ!?」
の足首が球磨川に掴まれ、咄嗟の事に対応出来なかった彼女は倒れ込む。スカートの中をばっちり見られるおまけ付きで。
「『ちゃんのパンツかっわいー』『ついでだからもう一回見せて!』」
「いやあああ!禊ちゃんの馬鹿あああ!!」
「『おっと!女の子がそんなに暴れるもんじゃないよ』『まぁ…僕も傷付くからなあ、ちゃんのこと、しつけてあげよう』」
本気になった球磨川の目を見て、は迷わず逃げの姿勢を取る。

かくして第一回・球磨川鬼ごっこ対決は幕を開けた。