…おいおい、何さこれ。
室内はやけに甘い香りで満たされている。チャプン、と波立つ水面は、ローズ・ピンク。そのローズ・ピンクに浸かっているのはまだあどけなさの少しだけ残る、少女。しなやかな肢体はローズ・ピンクを玩んでいた。
…っ今、胸が… 慌てて、扉の方を向いた。
「?」
「…あははっ、ラビぃすごいでしょぉ〜」
「…その、何でこんなに甘ったるい香りがするんさ…」
チャプン。
「えぇとね、入浴剤なのぉ」
普段の彼女からは想像もつかない、若干ずれた答え。口調といい、そこらの売女みたいなもんだ。何があったってゆーんさ。
「、悪ふざけか?」
「何がぁ?」
「何がぁ、じゃないさ!部屋に来いって言うから来たら、何なんさこれ!」
「ん〜?ラビはぁ、女のヒト好きでしょぉ。だからどうかなぁってぇ」
酔ってる。…そりゃ女の子は好きだけど。は、どんな顔をしている?逸らす前は、女の笑みだった。
ローズ・ピンクがまた波立ったらしい。チャプン、とまた鳴った。
「ねぇ、ラビ」
「…何さ」
グッ、と腕が引っ張られる。え。反射的にの方を見てしまった。ローズ・ピンクからするりと伸びたしなやかな肢体。はっとして扉の方に向き直る。
「……おまっ、何やってんさ離れ」
「あははっ、ラビぃ、今びっくりしちゃったぁ?しちゃったでしょぉ?」
「んな…!」
「興奮しちゃったぁ?しちゃったぁっ?きゃはははっ、らぁびぃ」
「、お前、離れろって…うおっ!?」
さらに腕が引っ張られ、腕が包み込まれる。の、肢体に。
「どお、どお?ラビぃ、うれしい?」
「うっ、嬉しくなんかねぇさ…っやめ」
「やめないもぉん」
に纏わりついていたピンクがだんだん俺の服に染みる。引っ張られた右腕が温かくもあり、涼しくもある。少しべたついた。
放される頃には香料が染み付くだろうけど、まずに放す様子がない。
「ねぇラビラビっ、私ね、ラビがどーするかなぁってぇ、きゃはははははっ!」
だんだん頭がくらくらしてきた。自分まで、というべきか。どうしてがこうなったかなんて知らない。もう知ろうとも思わない。
「まだ、やめない気かよ?」
「やーめなーいもぉん、ラビがぁ、私だけを見てくれるならやめよっかなぁ〜?やめてほしいのぉ?」
無邪気な口調で、おんなのひとすきなのに、と付け足された。もう確信犯だ。目の前にいるのは少女なんかじゃない。情婦と一緒だ。
「…どうなっても知らないさ。これ以上は自己責任さね」
俺はこれで誰からか、いや、誰からも軽蔑されるかもしれない。それでもいい。俺も男だ。
「、後悔すんなよ」
まだあどけない体を半ば振り解くように、もうべたべたになった服を脱ぎ捨てる。素肌が触れ合う。
妖艶に笑うその『女』を、ただ抱きしめた。
アンダー・ザ・ローズ