グル、グル、グル!

「好きな人っている?」
「…はい?」
唐突になんですか
、とは眉を吊り上げる。質問した本人は何も悪びれる事なくまた口を開く。

「好きな人は、いるのかって訊いた。」
「分かってる。なんで急にそんな事を訊くの。」
「ん、そうだね、気になったから。」
「キミは少し馬鹿じゃないのかな」
はいかにも呆れた、という口ぶりでそっぽを向く。

「君もその年だ、いない訳じゃないんだろう?」
随分変な事を聞いてくる
、とは首を傾げた。言いたい事など全く伝わっていない。年齢の関係性も分からない。

「それは、好奇心?」
「ううん、『希望』の調査。」
「…何それ。」
「恋をすれば少しは希望をもって1秒でも長く生きようと思うかな、ってね。君はいつでも死にたがりの目だ。」
「死にたがりね。いいの、痴愚の塊だもの」
痴愚
、と質問した者は口に手を添える。痴愚の意味するところを脳内で探す。見当たらない、質問した者には痴愚など理解を示さないも のの対象。

「痴愚…何も知らない愚か者、というところかな。どうだい?」
「キミにしては筋の良い答え。でもそんなに浅くはないな。」
「じゃあ分からない。」
素直だね
、とが肩を竦めると、どういたしまして、と質問した者は笑う。
滑稽だ、と僕は思う。
いたちごっこという短いものではない。もう何度もそういう結果になった。いくらやっても結果は同じ。は説明を止め、質問した者も質問しない。そのあとは必ずこう続く。

「きれいな星だね」
「きれいな月だね」
滑稽だ、と僕は思う。
質問した者の髪を編んだり解いたりするのが好きなと、を抱きしめるのが好きな質問した者。もう何度もそういう関係になった。いくらやっても関係は同じ。
それから、必ずこう続く 。

「また逢いたいな」
「また遭いましょう」
滑稽だ、と僕は思う。
2つの黒光りからそれぞれ金色が飛び出す光景はとてもきれいに見えて仕方ない。それが2つの肌色の中から赤を引き出す瞬間も、とて もきれいに見えて仕方ない。何度も見てる飽きない光景。
滑稽だ、と僕は思う。

だからいつか変わらないかともう一度廻る。




ほら、次の世界に続けよ螺旋!