「ふーん宗像くんって妹いたんだー。」
「ああ、いるね。急にどうしたの。」
「妹が…兄弟がいるって、どんな感じかなーと思って」
「僕は所詮殺人衝動越しの妹だったからね。よくは分からないけど」
宗像くんのお見舞いに来たついでの暇潰しの話題だったのに、案外乗ってくれちゃった。球磨川くんと戦って、頭にまで怪我をしたと聞いたから結構焦ったのだけれど、本当に大事なくて良かった。
さて自分から振った話題、宗像くんみたいなお兄さんがいるって、逆にどうなんだろう。かっこいいけど異常
の兄。
黒神ちゃんみたいに異常
で変態
なお兄さんはそれはそれで嫌だけど、黒神ちゃんは孤独にはならなかっただろうし少し羨ましいのかもしれない。
「うーん…兄弟…」
「さんはいないんだ。」
「うん。てっきり宗像くんもそうかと思ってた。」
「…恋――いや、処理は家を出てるし、同じようなものだけど。」
「あ、あの、そうじゃなくて…」
異常
の自分が、孤独な身が少し寂しかったから。同じように異常の兄弟がいたら少しは違ったかもしれないと夢想してみる。だけど。だけどそれは同じ異常を求めた今には繋がらなかったのかもしれない。
「さん」
「え、あ…ごめん、何?」
「兄弟がいて良かったのかとかは分からないけど、それでも、友達がいるのは嬉しいよ。まだ出来たばかりだけれどそう思う。兄弟じゃなくても、いいんじゃないかな」
「…そ、うだよね。」
「うん」
宗像くんは相変わらずあまり表情を和らげてはくれないけれど、いつも私と話をしてくれる。人吉くんには先を越されて友達になられてしまったけど、いつか人吉くんでは絶対なれない立場に一番乗りしたいんだ。
「宗像くん、今日もありがとう」
「いや……もう帰るの?」
「うん。…宗像くん?」
初めて、もう帰るの、と止めるような言い方をされた。よく分からないけれど、じっと見つめられる。
「……。」
「…気をつけてね」
「あり、がとう。宗像くんもその辺歩くなら気をつけてね」
「うん」
名残惜しそうなのはどうして?私の思い過ごしだろうか
一言紡ぐ
期待してもいいかな?